2016/07/23

大聖堂-果てしなき世界

「大聖堂 果てしなき世界」(ケン・フォレット、ソフトバンク文庫)をやっと読了しました。この文庫本が出版されたのは、2009年(海外での発表は2007年)ですが、僕が読み始めたのは1ヶ月半ほど前なので、出版されてからずいぶんと時間が過ぎてしまっています。ただ、この小説は歴史小説なので、読んでいて古く感じることはありませんでした。
「大聖堂 果てしなき世界」は、1989年に発表された「大聖堂」の続編です。前作の「大聖堂」についてはずいぶん前に読了して内容もだいぶ忘れていましたが、その記憶とは関係なしにこの続編「大聖堂 果てしなき世界」は読むことができました。

前作と今回の続編の共通することといえば、キングズブリッジというイングランドの架空の町、前作の登場人物である建築職人のトム・ビルダー、ジャック・ビルダーの末裔たちの話ということくらいです。
ちなみにこの「大聖堂 果てしなき世界」は歴史小説です。時代も1300年前半から1360年代くらいを想定してします。普段僕は歴史小説のジャンルはほとんど読まないのですが、これだけは別格でした。700年ほど前の話にもかかわらず現代の僕たちと同じような生活がかつてあったことに驚きつつ、日本の時代劇のような美化された世界はいっさいないリアルな描写の連続で、複数の登場人物による果てしなき群像劇が繰り広げられ、時間を忘れてよみふけってしまいます。
そのなかでも僕がこの小説をお気に入りにできたのは、やはり建築職人のマーティンがいたからだと思います。彼を中心に建築的な視点からキングズブリッジという町の政治、経済、宗教、戦争、性風俗などとの距離感をはかりながら読み進めることができました。
ただこの小説はそこだけではなく、カリスやグヴェンダなどの女性陣がいきいきと描かれ権力や宗教にもからんでくるという点でもおもしろいと思います。そういう意味では、つい最近、イギリスで女性の首相がひさびさに誕生しましたが、その出来事ともどこかリンクしている気がして、現代との接点におもいをはせることもできる小説です。

とにかく、巻末に児玉清さんによる解説でも”一度飛びこんだら、もう絶対に抜けられない面白地獄”と書いているように、量は多いですが、読み始めたらあっというまにページが進むと思います。
そんなわけで、このブログを読みにきてくれた方なら一度はよんでみてほしい小説だと思い、ここにて(こっそり、しかもひさびさの更新・・・)紹介してみることにしました。

なお、最後に作家の瀬名秀明さんによる書評も見つけたので、こちらも内容把握の参考にでもなればと思い、リンクしておきます。

→『大聖堂―果てしなき世界 上・中・下 [著]ケン・フォレット』

あ、そうそう。この「大聖堂 果てしなき世界」は、海外ではテレビドラマとして映像化もされているそうですね。まだ日本語訳がついたものはでていないようですが。(泣)